2013-01-01から1年間の記事一覧
@shindokumaru: …今年は寒いな、脱いだ途端に君と歩んだ古傷がざわざわとうずく。そろそろ時間だ。除夜の鐘を打ってくれ。(バシッ!)「 61、62!」ああいい音だ。ひと打ちごとに私の体から厄が落ちていく。なんて幸せな。「98、99!どうだい下僕、気持ちいい…
@shindokumaru: 「年越しそば作りました。早く帰ってね」大晦日、スマホに妻からのメールが届いた。送信日時は2008年12月31日午後23時32分。その時間、家庭を捨てた旦那を待つ妻はコンロに年越しそばを残して縊死。それ以降毎年届く、メアドを変えても。なぁ…
@shindokumaru: 「もしもし、私メリーさん。今あなたの2014年12月29日に来ているの。あなたさっき来年こそは結婚するって言っていたけど、無理だから。男出来ても逃げられてまた婚期逃すわよ。ほほほ。…え?鬼?そうよ。だって言うじゃない、来年のことを言…
@shindokumaru: 大掃除中に浮気の証拠を妻が見つけた。平身低頭に謝って一応機嫌を直してくれたが、心底で許していないとわかったのは大晦日。妻が腰に注連縄を巻いていた。「注連縄は結界を意味しているのよ。穢れは私に触れてはいけないのよ」難しいことは…
@shindokumaru: 今日が仕事納め。「よいお年を」最後まで付き合ってくれたスタッフが口々に挨拶に来る。みんな帰った後に女性一人。女優という名の仕事のパートナーだ。「よいお年」「あのさあんた腰使い甘い!年末あたしが仕込んでやるからうちに来い、竿師…
@shindokumaru: 「火のーよーじん」冬だねぇ。こんな寒いのに夜回りか。寒い時には炬燵とおでんと燗だね。女将の人肌、実にいい塩梅だ。いい感じに酔ってきたよ…女将も酔っ払って…なんだ人の手を取って…襟元から?…あぁ旦那持ちの人肌、あったかくて柔らかい…
@shindokumaru: 「サタンってどんな感じなんですか?」「もともとは大天使だからね、美貌があって弁舌爽やかで、誰もがついていきたくなる存在よ」「カリスマなんだ」「カリスマはどっちにも転ぶものよ」「じゃぁあの人もサタンなんじゃない?今日生まれた人…
@shindokumaru: クリスマスなんだなぁ、サンタの格好をして電車に乗ったのに誰も私を咎めない。家に帰るとパーティーは終わっていたが、私の分を残してくれていた。プレゼントを娘の枕元に置いた。そっと扉を閉めようとドアノブを触ってみて気がついた。…そ…
@shindokumaru: サンタクロースという寡婦男には大事な娘がいたが、娘が叔母のもとに行っている間に国が分断された。もうすぐ娘の誕生日、プレゼントを渡さないと。雪の夜国境を越えようとした男を銃弾が貫いた。コートを赤く染めてあわてんぼうの男が息絶え…
@shindokumaru: 由紀恵母さんを早く亡くしてから、兄が私の親代わりで万事こなしている。クリスマスイブもお呼ばれを全て断ってうちに帰り、用意していた料理を温めて兄妹二人でパーティだ。テレビが流す「クリスマス・イブ」に乗ってロウソク点灯。兄さんあ…
@shindokumaru: 今日ケーキ持ってきたんですよ。ほら。ハート型。すごいでしょ。一生懸命作ったんですよ。でももういいんです、みんなで食べちゃいましょう。じゃ、切りますね。ぐさっ。ぐさぐさっ。一生懸命作ったケーキ、どんどんバラバラになっていきます…
@shindokumaru: 今日ケーキ持ってきたんですよ。ほら。ハート型。すごいでしょ。一生懸命作ったんですよ。でももういいんです、みんなで食べちゃいましょう。じゃ、切りますね。ぐさっ。ぐさぐさっ。一生懸命作ったケーキ、どんどんバラバラになっていきます…
@shindokumaru: 「サンタは世界中の子供にプレゼントをあげる。山奥にいる子供にも断崖絶壁を乗り越えて、な。だから体は傷だらけ。その血が染まったのがあの衣装だ。サンタからのプレゼントは有難く頂くんだぞ」「そういえば去年のサンタさん、顔が傷だらけ…
@shindokumaru: 一人暮らしの部屋で苦しくなって倒れ、気がついたらベッドの上だった。先生は言う。「あの氷雨の中、娘さんが赤いレインコートを着て病院まで来たんだよ、お母さんが、って」レインコート。それは五年前の冬の雨の夜轢かれて死んだ私の娘の最…
@shindokumaru: もしもし、私メリーさん。今空を見上げてあなたを待っているの。毎年すれ違いなのよね。天気予報で今日はあなたが来るって知って待ち構えても全然見えなくて、気がついたらもう来ていて、でももう消えていて。また一年待つのは嫌よ。今年こそ…
@shindokumaru: 「声の記憶ってな顔のそれより官能的なんだと。どんなに身持ちの堅い未亡人でも旦那に似た声を聞くとイチコロだそうだ。試しにあの未亡人、俺が声真似で落としてみせるよ」数日後悪友は未亡人を見事落とした。今は女もべったりだ。引っ掻き傷…
@shindokumaru: 「お疲れ」とこっそりラテアートを書いてくれるバイトの女の子がいた。その喫茶店が閉まって半月後別のチェーン店に。帰りがけに寄ってみたが乗り気がしない。いるわけない。でも顔が見たい。後悔先に立たずかぁ。そこへ頼みもしないのにラテ…
@shindokumaru: 「彼の家に行くので白い花をください」女は花屋に言った。花屋は赤い花を勧めたが、「白なら彼を受け止められるんです」と譲らなかった。花束を持って女は走った。数時間後、女が戻ってきた。花束は赤かった。「彼があたしのものになりました…
@shindokumaru: 三千歳花魁に騙された者総勢47人、一気に押しかければ花魁も音を上げると踏んで決起。時に12月14日、男の意地を見せる討ち入りへ太鼓鳴らして雪を蹴立てて… え?どっちが勝ったって?もちろん花魁です。だってあちらはひとつ多く持っています…
@shindokumaru: 禿「姐さんは男と体を交わしても唇は交わさないんですか?」太夫「唇は魂の通り道。唇を交わす時はその男に魂を預けてもよい時だ」禿「難しい」太夫「唇を交わせばわかる」禿「じゃ唇ください」太夫「ちゅっ。…どうだ、魂のぬくもりを感じた…
@shindokumaru: 「今日はシゲルさんの誕生日です。お祝いのメッセージを送ってあげましょう」 今年もSNSからお知らせが来た。私は言葉を送る。おめでとう。ボタンを押して思い返した。もう7年か。でも彼は天国ではなくそこにいる、だって言葉が届く。エラー…
@shindokumaru: 冬の誕生日は損だ。木枯らしが吹く中祝いに行く人はそういない。だから今年もベンチで一人ハンバーガー。寒い。ん、ほっぺに熱いもの。缶コーヒーを押し当てているのは、今年仲良くなった女の子。「お誕生日おめでとう」 冬の誕生日の得なと…
@shindokumaru: 「暖まるマッチいりませんかー」マッチ売りの少女を男と女が呼び止めた。「本当に暖まるのか?」「お試しあれ」二人はマッチを擦った。「暖かいねぇ」「暖まったところでホテル」「あーた!誰その女!」「わー女房!」男は逃走した。少女は声…
@shindokumaru: 喧嘩している男女の側をマッチ売りの少女が通りかかった。腕組みしている二人。その手を少女はマッチで炙った。「あちっ!」慌てた拍子に二人の手が重なった。「手を繋げば気持ちが伝わりますよ」「「…ごめん」」手を繋いで帰る二人を見送っ…
@shindokumaru: 「終わってないもの」今年亡くなった母の口癖。それは祖母の口癖でもあった。あの日から祖母も母も戦いを始めた。使命、闘志、無念、そんな賢しらな言葉は一切言わずに皆死んだ。遺された者は無言の遺志を無言で受け継ぐ、勝つ日まで。祖父の…
@shindokumaru: さんたなんか ほんとはいないって みんないいますが ぼくはきのう さんたさんを ほんとうにみました よなか ふくろをかかえて うちにきたのです でも さんたさん たんすのなかのものをふくろにつめて でていっちゃいました さんたさんは やっ…
@shindokumaru: 社長が妻だと面倒でして。今日「賞与があります」とお達し。「いくらですか?」と聞いたら「あとで通知します」で、そのまま帰社。仕方ないから自宅で「賞与…」と切り出したら、社長いや妻が私の手を取ってお腹に当てて、「はい、3ヶ月分」 …
@shindokumaru: 座敷童「大人になった瞬間、何が起きますか?」羅刹女「気持ちよくなって、声が高くなるぞ」童「じゃ大人にしてください」羅「では…服を脱げ。そして股の間に手を…こう」童「こうですか?…はっくしょん!あ、ごえががわっだ。ごれであだじも…
@shindokumaru: 12月に入って都内どこもかしこもイルミネーション。綺麗だけれど何か物足りない。ふと見上げた白い電飾。そうだ。 カッターを取り出して手首を切った。流れる血で電飾を塗った。新宿のその一角だけ白から赤に染まった。僕の色だ。「きれい」…
@shindokumaru: せんせい「300のけっこんしきと300のそうしき、どちらかしかいけないときあなたはどちらにいきますか」ぼく「300のそうしきです。そうしきはじんぜいでいっかいしかないから、だいじです。けっこんしきはなんどでもひらけます、せんせいみた…