@shindokumaru: 小面、曲見、桧垣女。四畳一間の壁面にびっしりと並ぶ能面。私が愛した女の顔を写し彫って、その数300。魂も宿ったようで、たまに面同士でやきもちを焼く。なんとでも言いな、君たちは私の戦利品さ。振り返るとすべての面が般若に変じていた…

@shindokumaru: 「美沙さん結婚してください」プロポーズされて結婚。しばらくして旦那の古い日記を見つけて驚いた。昔の彼女は初恋からすべて「美沙」だった。「私は昔の彼女の身代わり？」旦那に詰問した。「いや。君の名前が美沙だから」呆れる私の前で旦…

@shindokumaru: どんな病気でも一回診ただけで治してしまう医者がいた。その医者はキノコ栽培が趣味で、近所に無料で配っていた。ある日医者に酒を飲ませて白状させた。「あのキノコは患者の病原菌で育てたんじゃ、病気は人に移せば治るんじゃ」お説ご最もで…

@shindokumaru: 数ヶ月一緒に住んだ女が去った。彼女は綺麗好きで一日に二回はシャワーを浴びる。だから彼女が使った布物に石鹸の匂いが染み付く。人工的な匂い。それが日が経つと薄らいでいった。人がいなくなるというのは匂いが消えること。匂いが消えるこ…

@shindokumaru: 新聞記者「首相、あなたは激務なのになぜ風邪も引かないのですか？」首相「君、私は人を食っているからね」記者「ワンマン宰相のネタですね」首相「いや私は本当に人を食っているんだが。さっきも秘書官を一口。ほーら」 首相の舌の上には、…

@shindokumaru: また人を斬った。まじめに数えてはいないが、300人近くはいくか。人を斬った後、俺の肌のどこかに必ず面皰が出来る。面皰はある日破裂して痘痕となる。密集した痘痕同士が人の顔に見える。醜い顔だ、まるで俺をけしかけるような目、口。わか…

@shindokumaru: 好き。好き。今日もカレの背中に向かって唱える。剣道場で竹刀を振るカレを見て一目惚れして、でも面と向かって言えなくて。何万回でも唱える、思いが通じるまで。ドン！何かが頭を叩いた。カレが竹刀を振りかざして仁王立ちしていた。「スト…

@shindokumaru: 理科室の骨格標本は、三日月の夜になると、異国の少女の肉体を取り戻す。今夜も三日月。変身した少女はひとり屋上に上がり、故郷の踊りを始めた。月が唯一の観客。やがて踊りを止め、月をじっと見上げた。「メー、グラップ。ハィ ダーィ」潤…

@shindokumaru: ”11月23日、私のお誕生会を開催します” 求婚したA子から手紙が来た。A子の家に行くと、父親が焼肉を焼いていた。「先にお食事を」「うまい。あれ、A子さんは」「目の前におります。貴方たち求婚者を選べず、みんなのものになろうと」「みんな…

@shindokumaru: 「誕生日にはお妃がほしい。僕の理想の美しい手足顔を持った」王子の言葉に母親の王妃は軍へ命じて、国内の女性から手、足、胴を切り取らせた。人体パズルは進んだが残るは顔だ。「お前の理想な顔は？」「お母様です」軍は王妃の首を刎ねた。…

@shindokumaru: 「置いてけ、置いてけ」十一月二十二日になるとこの声が空から聞こえてくる。私は言われたとおり私を置いていく。声の主が姿を見せる。それも私。「いい年だったか？」「今までよりはな」「俺はもっといい年にする」「あとはよろしく」四十の…

@shindokumaru: 「万引きしました。お父さんすみません」「何を盗んだ」「トレカです」「男子が紙っぺらを盗むとは何事か！もっと男らしいものを盗め！」「お父さんは男らしい物を盗んだ経験あるんですか？」「ある。お前の母さんを他の男から」「すごいです…

@shindokumaru: A男はB子とT川で心中した。B子の溺死体の左耳からはイヤリングがなくなっていた。助かったA男はその後家庭を作った。ある日家族でT川で遊んでいると、妻が何かを拾った。「イヤリングね。一つしかないわ。もう片方はどこかしらねえあなた」と…

@shindokumaru: いつも笑っている人がいた。この人を怒らせてみようと集団が企んだ。ハゲデブ出っ歯と特徴を馬鹿にした。普通に笑っていた。お前の嫁って×××だろ？と嫁の仕事をバラした。赤い顔になって笑い出した。お前の息子は○○○。青い顔をして笑い出した…

@shindokumaru: 「どうしたら大人の女になれるのですか？」座敷わらしが羅刹女に聞いた。「そうだな。人の痛みを知る…ことか？」痛み。痛み。呟きながら住処に帰って座敷わらしは自分のほっぺをつねった。「痛い痛い。こんな痛いことは人にしちゃいけないと…

@shindokumaru: 「不発弾処理を開始します。おや一佐殿何をお探しですか」「俺このへんの生まれでな、子供の頃ここで落し物をしたのを思い出して」「そういえば弾の下で手紙が見つかりました、”むつみちゃんへ”と書かれた。ほっときましたが」「回収ー！」一…

@shindokumaru: 「これから会話禁止。手のひらに指で文字を書いて、お互いの気持ちを伝えよう」「面白いわ」カップルが会話をやめた。女の手に男が文字を書いた。女が男を平手打ちした。「なによ人を変人よばわりして！」女は去った。男はつぶやいた。「"こ…

@shindokumaru: 銀行から出た直後トラックに跳ねられた男の遺体からは右手首がなくなっていた。翌日男の彼女のアパートのポストに現金100万入りの封筒が入っていた。「オカネカエシテシアワセニナレ」とメモがあった。男の筆跡だった。鑑識は調査の結果、書…

@shindokumaru: 呼鈴が鳴った。男がワンルームに入ると、裸の女が炬燵に入っていた。「一緒に炬燵でご馳走って風俗はここ？」「そうよ」男も炬燵に入った。「あったかい。へへ。ご馳走は？」「あなた」炬燵の中から無数の触手が伸びて、男を中に引きずりこん…

@shindokumaru: 「俺を酔わせる酒はないか」「お待ちを。しかしお客さん、いい男ですね」「だろ？この顔とこのトークに酔わねぇ女はいねぇよ」「よっ大統領！」「ガハハ！」「で、これでございます」「おい、空だぞ」「今酔われたではありませんか」「何？」…

@shindokumaru: 手が早いと評判の彼の家へ初めて行った。何もなし。拍子抜けの私を彼が駅まで送ってくれた。「あたし魅力ない？」改札前で聞いた。彼がちょっと考えて言った。「ショートケーキは真っ先に食うよ、俺。でも苺は最後に食う、大好きだから」愛し…

@shindokumaru: どうも木枯らしです。今年もきました。みなさん私のこと厄介者扱いしていますがね、いいこともしてるんですよ。あの男とあの女を幸せにしてみせましょう。風をぶわっ。どん。見てなさいこれで二人は袖「キャァ痴漢！」…捕まった。…ははー、し…

@shindokumaru: 車が崖から転落した。乗っていた夫婦は即死。長男と長女は転落する直前に車から降りていたが、長男は両親を助けようと思ったのか崖から身を乗り出して転落、岩に激突して死んだ。葬儀は号泣の渦の中行われた。誰もいなくなった斎場で長女は三…

@shindokumaru: お嬢様、あなたはお美しい。これは厳然たる事実です。段が三つある顎もコーヒー皿を伏せたような小さいお胸も曲線を描くことない腰も、あなたなればこそ輝きを放っておるのです。あぁ、なんと凛々しい吊り目、優美な細眉ぷち「秋なのに蚊なん…

@shindokumaru: 婆「いろんなところで"看板に偽りあり"ですね」爺「見栄を張るからじゃ。分相応であれば嘘など出ん」婆「あなたのいちばん大きな嘘はなんですか」爺「…言うてもいいか。お前、口から心臓飛び出すぞ」婆「大丈夫ですよ」爺「…わしな、お前と一…

@shindokumaru: 学生?了。美国人有奇妙的癖好。首先在?女性之前安慰自以及之后性交?。美国人没有?操?念?？老??了。那个出借,不是"自慰""性交""?"?？学生?了。是那个。老??了。那个是美国人的拉丁字母。以及H不是中文。而且你的?音全部是日?。阿阿多根。学生?…

@shindokumaru: アイシテル。ケイコアイシテル。うちに帰るなり鸚鵡が連呼した。あいつめ、仲直りしたいなら面と向かって言え。「ただいま」「アイシテル」「なんだそれ」「アナタノマネデス」「君こそ言わせたろ鸚鵡に、ヤスユキサンアイシテルって」アイシ…

@shindokumaru: 肌の色が違う子供を置いて娘は消えた。言葉も通じない。途方にくれて私は縁側でおもちゃをいじっていた。子供が私の隣で不思議そうに見ていた。"Ha Ha" 子供が笑った。私も笑った。はは。私たちはいつまでもそうしていた、どんな言語よりも通…

@shindokumaru: 「今日、誰かの誕生日だったろ」「さぁ。お知り合いのどなたかでは」「いや、もっと大事な人だった気が。まぁいいか。忘れたってことは、もう覚えていなくていいってことだ」「そうですよ」茶碗を片付ける妻。タンスの中で、忘れられた名前が…

@shindokumaru: "愛"って名前が気に食わない。誰からも愛されるようにって親御さんが決めたんだろうけど、所帯持ちの愛を奪うなんて憎らしい。…あ、お帰り、今日は愛の詰まったシチューよ。召し上がれ。…え？何この鬼太郎の親父のような具はって？ だから、…